中村活版印刷から印刷に興味を持っていただける方を増やしたい 

中村印刷株式会社 

代表取締役 知念由紀  

町田宗明  

活版印刷は、シンプルで素材の主役も引き立てる印刷になります。ですので、手に触れて楽しむことが魅力です。もともと活版印刷はへこます印刷ではないです。しかし、シンプルできれいで、用紙選びから始めるので、手に触れることやインクの匂いことなど五感に触れるような印刷によって素朴さを感じるだけでなく、高級感にも寄与します。同じ範囲なのにいろんな表現の仕方で見え方が変わってくるという楽しみ方もあるんじゃないかなと思います。 

私は印刷を始めて23年になります。私が印刷を始めた頃には、活版印刷というのはすでに廃れていて、次のオフセットっていう印刷の時代に入っていました。私自身、活版印刷っていうのを知らないまま、印刷業に入りました。印刷業の進み具合というのが早くて、私が始めた頃はカラー印刷なんて簡単にできるものではありませんでしたが、今やプリンターですぐデータを送ればカラーで印刷物が出てくるっていう時代になっていますよね。印刷が綺麗で速くて安いという立ち位置になってきたときあたりから私がやりたかった印刷と少し方向が違ってきました。 

カラーが簡単にでき、デザインが幅広くできるということは素晴らしいですけど、私が求めているものとは違っていました。ちょうど、その時私は、自分の仕事と心の具合がちょっと合わなくなってきたところでした。でも、ネットの普及でいろいろ印刷についてを調べることにもできました。それで、活版印刷というものが東京で復活しているらしいということがわかり、すごく興味があって見に行きました。 

まず、東京の方で活版に特化したイベントをしていたので、そこに遊びに行き、その裏の方で作業しているところを見たりとかいろいろしている中で活版印刷にやられました。言い換えると、印刷物に心をすごく持ってかれました。だけど、あまり知らないし道具もないから、二年ぐらい遊びに行くだけでそこに通っていました。 

だけど、せっかく印刷しているから、作り手側に回りたいなって思いました。これがきっかけです。それから活版印刷の機械を探し始めました。使えない状態だった手動の機械が倉庫にあったんです。 

それを見て「これ何だろう?」って興味があって、一から試行錯誤しながら、全部解体して、組み立てて、塗装しなおして使える状態にしました。この作業は、ネット検索でも出てきません。自分で勉強して、手動で機械をようやく動かせるようになりました。すると、今度この大型機械が入ってきて、機械を動かせるようにいろいろ試行錯誤しながら一から勉強しました。 

他の伝統工芸とか伝統文化と同じように印刷にもこういう歴史や奥深さがあります。それで生み出されるものに触れたり、知ったりするお客さんが増えていってほしいなと思います。好みなので何が好きかは人様々です。でも、知ると知らないのでは違ってくるかなと思っていて、知っている人が多くなれるような活動を私たちだけじゃなくて、それに共感してくれた方々とチーム組んでじゃないですけど、何か企画考えることとかそういう風にして広めていけたらなと思っています。今一度、印刷を知ってもらいたいという思いがあります。そのためにデザイナーさんと繋がったり、紙を作っている方と繋がったりして、皆さんに何かお知らせできるチャンスをいっぱい増やしていきます。 

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